善悪の彼岸

ニーチェの本だっけ?
この記事は読んだとき、ふとタイトルが浮かんだ。

18歳の母、緊急通報ダイヤルに「強盗を撃ってもいい?」と相談(CNN)

(以降転載)

米オクラホマ州で生後3カ月の息子と2人暮らしの女性(18)が、緊急通報ダイヤルで助言を求めながら、自宅に押し入ってきた男を射殺する事件があった。
同州ブランチャードに住むサラ・マッキンリーさん(18)は12月31日午後、緊急通報ダイヤルの911に電話して助けを求めた。「手元に銃が2丁あるの。男が入ってきたら撃ってもいい?」
警察などの調べによると、この日2人の男が強盗目的でマッキンリーさんの自宅に押し入ることを計画。1人がドアを激しくたたき、体をぶつけて壊そうとした ため、マッキンリーさんはドアの前にソファを置いて子どもを守ろうとしていた。夫は25日にがんでなくなったばかりだった。
911の通報に応答したオペレーター、ダイアン・グラハムさんは、マッキンリーさんに「あなた自身を守るためにできることは何でもしなさい」「許可するとは言えないいけれど、あなたの赤ちゃんを守るためにやるべきことをやりなさい」と語りかけた。
この助言を受けてマッキンリーさんは、ドアを壊して入ってきた男に向け、散弾銃の引き金を引いた。
駆け付けた警察は、左手に刃物を握った状態でドアとソファの間に倒れていた容疑者を発見。現場から逃走した共犯者を殺人の疑いで逮捕した。
検察はマッキンリーさんの行為を正当防衛とみなし、訴追はしない方針。911のオペレーターの助言についても「同じ意見だ」と話している。
4日にテレビ番組に出演したマッキンリーさんは、男を撃ったことを後悔しているかと尋ねられてきっぱり否定。「もしもああしていなければ、状況は全く違うものになっていた」と振り返った。

(以上。2012.01.06 from CNN)

この事件を知る前は、アメリカの銃好きを時代遅れに感じていたけど、こういう事件が実際に起こると、正直手元に武器を持っててホッとした。
母親曰く「「もしもああしていなければ、状況は全く違うものになっていた」
まさにその通りだ。

中には「警察に任せろ」という人もいるかもしれないが、今回の場合は間に合わなかっただろう。そして、母親が非武装だった場合の末路を考えると、とても「銃が悪い」とはいえない。
この事件は典型的な正当防衛、つまり自衛だ。奇麗事ではなく現実問題なのだ。

しかし、自衛のためのはいえ、人を殺せば記憶に残る。
母親が自ら引き寄せた不運ではないが、彼女が人を殺めたという事実に苦しんでいないことを祈るばかりだ。
人を殺したのではなく、子どもを守っただけなのだ。

一方では銃を乱射する人間がいれば、他方ではこうやって銃で人の人生を救うことができる。
素粒子物理学でも仏教でも「二面性」が重要なファクターになっているが、その二面性を無視して論じると、一つだけ違うピースが入り込んだジグソーパズルをするようなもので、正しい結論にはならないし、第一時間の無駄だ。
今回のような銃が絡む出来事についても、銃が問題のようにみえて、実は銃ではなく人間にこそ問題がある(まぁ改めて言われるまでもないほど明確ではあるが)。
銃乱射事件の被害者と、今回の件で子を守った母親と、等しく社会に求めるものはなんだろう。
それは、人間のレベルアップ以外にはない。

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