今日昼ご飯を買うためにスーパーに行った。
おかず買ってレジに向かうと、僕と同じように昼ごはんを求める客のほか、
一般のおばちゃんたちも混ざり合って、レジには長蛇の列ができていた。
「あぁ、これで貴重な昼休憩が5分ほど無駄になってしまう」と思いながらも、
僕は数あるレジの中でも、最も並んでいる人数の少ない列を探し、
その最後尾についた。
僕が選んだ列は、現在会計をしているおばちゃんの後ろに、
おばあちゃんが一人いた。
そこで皆さんは「なんだ、『長蛇の列』って言っても、並んでいる人数すくないじゃん」 と思うかもしれないが、
並んでいるこのお二人。レジかごの中の商品が尋常じゃないのだ。
もはや「つかみ取り放題状態」で、てんこ盛りになっている。
これは普通の買い物4人分は時間のロスになる。
僕も列についてから気づいた。
しかし、気づいたのなら他の列に並べばいいではないかと思うが、
実は次の瞬間、他の列に並ぶ必要がなくなったのだ。
僕が列に並んだ直後、目の前のおばあちゃんが僕に気づいて振り向くと、
「あんた昼ごはんでしょ。先行きなさい」
そう言って順番を譲ってくれた。
僕は一瞬唖然としたが、すぐに何が起こったのか悟り、
おばあちゃんにお礼を言った。
そして再び。。。
僕がレジで会計をしていると、おばあちゃんの後ろに別の兄さんが並んだ。
「あんた昼ごはんでしょ。先行きなさい」
レジのお姉さんがその光景に微笑を浮かべる中、
お兄さんは恐縮しながらレジの順番を譲ってもらっていた。
僕から数えて5分以上、おばあちゃんはレジの前に立っている。
順番を譲り続けて、はや5分だ。
僕は会計を終えてレジを離れながら、おばあちゃんを振り返った。
おばあちゃんはレジの前に立っていた。
まるで今レジに並んだような、日常の真顔だった。