ジブリが制作した映画(一部ジブリ以前に宮崎氏が携わったものもあり)のレイアウトが、額に飾って並んでいた。
館内撮影禁止だったので、展示の様子は文字のみでお伝えすると、映画単位でエリアが区切られ、実際に映画制作で使用されたレイアウトが、美術品のように一枚ずつ額に飾られ展示されていた。
通常はA4より少し大きめの紙が一枚で1シーンなのだが、カメラの動きなどによっては、複数枚を貼りあわせて画面構成を指示しているものもあった。
それ以外でも、背景は普通の鉛筆で描き、セルの指示があるものは赤鉛筆で描かれていたり、スタッフへの指示などが、専門用語のオンパレードでいたるところに書かれていた。
それらの専門用語は、額の横に説明文がついていたのでわかりやすかった。
そういえば、以前ドキュメンタリーで出ていた計算式も、しっかり乗っていた。
この計算式というのは、背景で流れる複数の雲が、1コマで何ミリ移動するかを指示する際に、その数値を算出したものだ。
しかしなにより感心したのは、みんな絵がうまい。当たり前だが。
しかもゆらぎがない。なんというか、テレビアニメは人によってはキャラクターが別人のようになってしまい、回を重ねるごとにキャラクターの顔まで変わってしまうことがあるのだが、ジブリのレイアウトはそういうものがなかった。
説明文では宮崎氏以外にもレイアウトを書いているみたいなことが書いてあったが、そうだとすると技量の統一は凄まじいレベルである。だって、キャラクターの顔はおろか、直線一つ、曲線一つとってみても、レイアウト全体を通じて統一感が半端ない。
そして、とても丁寧に描かれている。
レイアウトにはカーボンで写しとったときにつくペンの跡がくっきりのこっていた。
これが臨場感を掻き立てる。
で、率直な感想はというと、アニメというか映画作り、ひいては芸術そのものが、普通のしごとと何らかわらないということだ。サイトを一つつくり上げるのも、アニメを一本つくり上げるのも、僕にとってはすべて同じことなのだ。
だから、サラリーマンが嫌だから芸術家になろうなど、きっと言語道断なんだろうな。
通勤が嫌だから自由業になりたいとか、人の下につくのがいやだからフリーランスになりたいとか。
以前呼んだWEBの記事で、「こういう理由で起業すると失敗する」みたいなものがあって、その中に「今やっていることに不満があるから起業すると、間違いなく失敗する」というようなことが書かれていた。
では、どういう理由だったら成功するのか。それは次のようなものだった。
「既存の概念を打ち破りたいし、その方法も知っているが、今のままだとどうしてもできない」
フリーになるのも起業するのも、前向きなフラストレーションが必要なのかもしれない。
本田宗一郎は純粋に技術の人だった。
それを世界企業にまで押し上げたのは、藤沢さんのおかげだと僕は思う。
この世で何かを成し遂げるには、信念の他に技術も必要だということだ。
特にビジネスに関することでは。
そういう表舞台は僕には無理なので、僕は村上春樹か鳥山明を目指すことにする。
彼らは表舞台に出てこないが、彼らが生み出すものの影響力は計り知れない。
もちろん、彼らのような才能が僕にあるかどうかは別問題。
でも、なければないでいい。
あるかないかはやってみないとわからないので、やっているだけです。
昔だったらいざしらず、今の僕は映画の中のサリエリのように、「なんで神様は、僕に才能を与えてくれないんだ!」と言うことはない。
それだけでも、「成長したねぇ」といえるかな?
おっと、また支離滅裂になってしまった。
レイアウト展の感想だったのに。
レイアウト展は行って正解でした。いい刺激になりました。大変そうだけど、やっぱり創作は楽しそうだ。
以上。