「機械の中の幽霊」感想


「目的設定者は、生命の発端からこのかた、かぎられた可能性をもっともよく利用しようと戦い、努力してきた個々の、そうしたすべての生物個体である」- 機械の中の幽霊 第11章

進化の目的は、人間(もしくはそれ以上に進化した知的生命体)を最終目的としているのではなく、その時々の環境の中で、可能性として秘めている未来像を、その都度選択した結果であるということだと思う。
現在は、そういう進化のユニットの積み重ねであって、神懸かり的な意志によって進化のプロセスが決定するのではないのだと思う。

蛮行と信念 ~ 「機械の中の幽霊」感想 ~


「現代、古代、あるいは前史時代、いつの時代でも証拠は常に同じ方向を指し示している。すなわち、人類の悲劇はその野蛮ではなく、誤った信念にとりつかれやすい点にあるいうことを」ー 機械の中の幽霊 第15章

確かに人間にはある種の野蛮性というか、野性的な一面もあるかもしれない。
進化の過程で組み込まれた生存競争に対応するための、弱肉強食を遂行できる程度に。
しかし、その性向が何の理由もなく、突発的に暴走することはない。
少なくとも、人類の悲劇の引き金になることはない。
問題は、蛮行を助長する動機の方が、人間の性向よりも強烈な発火能力があるのではないだろうか。
十字軍もナチスもオウム真理教も、レールの上を走る暴走列車のように思う。